マイ・マザー

2019年10月12日
プライベート

先日のロランスに続き、
グザヴィエ・ドランの(マイ・マザー)を観ました。

この作品もずっと観たいと思っていた映画の中の一つでしたが、
レンタル屋にはどこにも置いてない上に、手頃なセルDVDにも巡り会えず…という感じだったので、これまたやっとの思いでした。

2009年。
ドラン、19歳の記念すべきデビュー作。

本当に驚きですが、
若干19歳で監督・主演です。

自分が出たい映画がないから作ってしまい、演じた…的なノリらしいですけど。
それにしても、
よくもこれ程までに深みのある作品が作れたものだと本当に驚いてしまいました。

ドランが手掛けたどの作品においても、一貫して大きなテーマとなっている親子の関係。
本作品も一作目にして、まさにシンプルな母と子の物語です。

愛を愛だと伝えきることのできない母親。

愛を愛だと受け止めることのできない息子…。

恨んでもいるけど、愛さずにはいられない親子の絆。

両親や家族、また故郷などというものは、実にやっかいでとてもうっとおしく、
それでいて生涯忘れられない大切な自分の原点でもあると思います。

振り替えってみれば、僕も両親とのやり取りの中でイラだったこと、悲しんだこと、いろんなことがありました。
でもやっぱり二人をリスペクトせずにはいられない、とても奇妙な何かを未だ抱えているように感じています。

さて、デビュー作というのは、
映画にしろ音楽にしろ、伝えたいこと、作り手の想い、アイデア等がシンプルに凝縮された花火のようなものだと思います。

親と子の絆、愛、友情、ファッション、音楽、そして自身がゲイであること。
監督グザヴィエ・ドランの頭の中が見事にビジュアルとなって爆発した記念すべき第一作だと思いました。

(もしも今日僕が死んだら?)
息子ユベールの問いに母親は無言で息子を見つめます。

答えを聞かないうちにその場を離れるユベール。

去っていく息子の背中に向かって、(明日、私も死ぬわ)と呟く母親…。

親とは。子とは。

このシーンでのやり取りに、その全てが凝縮されていたように思います。

2014年、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した(マミー)にも母親役で出演している、アンヌ・ドルヴァルの演技が見事。

ラストがよくある手法だったので、今回ちょっと厳しめの星3,5。(ま、しっかり泣きましたけども笑)。

美しい作品でした。