わたしはロランス

2019年9月20日
プライベート

ずっと観てみたいと思っていた映画(わたしはロランス)を、先日やっと観ることができました。

登場人物の繊細な心の動き、関わる人間との距離感、映像美、音楽…。
どれをとっても素晴らしい映画でした。

カナダ出身の俳優グザヴィエ・ドラン、2012年の監督作品。

トム・アット・ザ・ファームで彼の存在を知って以来ずっとファンです。

非常に重いテーマの作品が多いのですが、親・兄弟、または恋人・友人など…こんなにもヒリヒリするような感情や空気感を表現できる監督は他にそういないような気がしています。

今回観た映画の内容、少しだけお話しすると、
仕事も恋も全て順調だったはずの一人の男性(ロランス)は、幼い頃から女性としての人生を送りたい…という密かな願望を胸に抱いていました。

ある日突然、彼は恋人に向かって想いの全てを打ち明けます。

揺れ動きながらも、その事実を受け入れる恋人。

それまでの二人の関係・キャリア、そして家族や社会とのつながりさえも、少しずつ無惨に崩れ始め…。

グザヴィエ・ドランを知ったのは、たまたま見た雑誌のインタビューでしたが、
その甘いルックスから、(なんてカッコいい人なんだ)というのが第一印象でした。

ですが、彼自身ゲイであることを公表しており、また複雑な家庭環境で育ったこともあることから、どの作品にも彼が抱え続けた葛藤や悲しみ、そして愛とはいったい何なのか…という、
人間が一生をかけて追い続ける、答えの見えない深いテーマが様々に投影されているように感じます。

また彼の映画の特徴として音楽があります。

なぜここでこの曲?と思えなくもないくらい、突然のタイミングでユーロビート(時にちょっぴりダサい笑)がドーン!と入ってきたりします。

最初は驚きましたが、重要なテーマとなるシーンを観る側に印象付けること。また、後へと続く物語への強烈なアクセントとしての手法であることに気づきました。
そして観るたびに、(確かにこのシーンにはこの曲かもな…)と納得させられたりもします。

2016年の監督作品(たかが世界の終わり)が、個人的にはダントツに良かったため、今回この映画の採点は星4つ☆☆☆☆となりました。
(あくまで個人的に、です)

とりわけ、母親役のナタリー・バイの演技には胸が震えました。

これからも彼の作品を追い続けたいと思っています。

いい映画でした。