ずっと観てみたかった、ヴィム・ベンダース監督作品(ピナ 踊り続けるいのち)のDVDを先日購入しました。
もともとはピナ・バウシュという女性振付家・舞踊家のドキュメンタリー映画を作ろうと、二十数年もの前から監督が構想を練っていたものだったそうです。
が、撮影を始めようと思った矢先、ピナ・バウシュが突然の他界。
その後一度は撮影中止を決定していたものの、映画化を願う世界中のファンの声に答えるべく、監督はピナを代表する作品群の撮影を新たにスタート。
現代建築や自然のなかでパフォーマンスを繰り広げるダンサーたちを追いかけ、この美しい作品を完成させたそうです。
ずいぶん前から、ネット上での評価も非常に高い作品でした。
僕自身、ピナ・バウシュという人の名前は知っていたけど、あまり詳しいことまでは知らなくて。しかもコンテンポラリーダンスの世界ともなると、なんとなく敷居の高いイメージも強く。
でも好きな音楽家がこの映画に楽曲を提供していたこともあったりで、今回ようやくの購入となりました。
で、さっそく観賞を終えて。
奇妙で不思議な動きの反復や、美しさの中にも悲しみや孤独感を感じるような独特の世界観。
インスピレーションを作品に起こし、それを演じることで、観る側に何をどう伝えたかったのか。
ピナ・バウシュの心の奥にあるものがいったいどういう形をしたものだったのかは正直よくわからないけど、体の中から沸き上がる喜びや愛、怒りや悲しみを、自分という殻をやぶって表現し、観るものを完全にノックアウトしてしまうパワーはとにもかくにも圧巻。
頭では理解できないから、五感で感じ取るしか術もありませんでした。
でも、そもそも美しいものを見る時には(感じること)だけが唯一大切なことと言えるのかも知れませんね。
何度も回数を重ねて観ることで、少しずつその真の世界観に触れることができれば良いなと思いました。
個人的に、今年観た映画の中では(と言っても9年前の作品ですけど笑…)ダントツの一位となりました。
しかし、これは本当に映画館で観るべきだった…。
今さらながら。
残念でなりません(ToT)…。
公開に際してのキャッチコピーは、(これはダンスか?演劇か?否。生きる、そのもの)
久しぶりに、何度も観てみたいと思える映画でした。